subclinical Cushing症候群
#内分泌疾患
副腎偶発腫は,副腎腺腫(非機能性,機能性)の他,副腎癌,悪性リンパ腫,転移性腫瘍,骨髄脂肪腫(myelolipoma)なども鑑別診断の対象
治療抵抗性の臨床的問題(高血圧,全身性肥満,耐糖能異常,骨密度低下,脂質異常症など)を合併する
【問診】
42歳の男性.
人間ドックの腹部CTで異常を指摘されたため来院した.(→自・他覚症状がない
既往歴に特記すべきことはない.喫煙歴と飲酒歴とはない.
【身体所見】
身長172cm,体重75kg.(→軽度肥満(BMI=25.4)
脈拍76/分,整.
血圧142/82mmHg.(→軽症高血圧
身体所見に異常を認めない.
【検査】
血液所見:赤血球420万,Hb 14.4g/dL,Ht 41%,
白血球8,000(桿状核好中球10%(2~15 %),分葉核好中球70%(40~60 %),単球4%,リンパ球16%(20~50 %)).(→軽症高血圧
血液生化学所見:空腹時血糖102mg/dL,HbA1c 5.9%(基準4.6~6.2),Na 141mEq/L,K 4.3mEq/L,Cl 106mEq/L,
ACTH 7pg/mL未満(基準60以下),コルチゾール11.8μg/dL(基準5.2~12.6)
アルドステロン106pg/mL(基準45~106),血漿レニン活性2.4ng/mL/時間(基準1.2~2.5).尿中メタネフリン0.11mg/日(基準0.05~0.23),尿中ノルメタネフリン0.14mg/日(基準0.07~0.26).
腹部単純CT
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デキサメタゾン抑制試験
腫瘍からのコルチゾール自律性分泌の有無を把握するために必須の検査である.
131I-アドステロールシンチグラフィ 機能的局在診断
腫瘍性病変におけるステロイド合成,および反対側の副腎の抑制の有無を把握するために有用である.
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診断の手順として,機能性か非機能性か,良性か悪性かを鑑別する.自律性分泌の確認には,デキサメタゾン抑制試験の他,血中コルチゾール日内変動の測定も有用である.尿中遊離コルチゾールの測定も行われるが,基準範囲のことも多い.
良性・非機能性と診断された場合は,定期的(半年ないし1年ごと)に画像およびホルモン検査で経過観察する.